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★この私小説は、2000年11月 もう無くなってしまったサイト『ミヤコズルウム』にて掲載された作品です。 私の体験を限りなく実話に近いカタチで書き下ろしたものです。。
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いつの頃からだろうか、クリスマスは彼女と一緒に過すという風潮になったのは ・・。
30を過ぎてからは、あの頃のようにクリスマスが来るのを指折り数えなくなっ
た。
街角のツリーを見ても、ジングルベルの音を聞いても、ケンタッキーフライドチキン のCM見ても なんとなく他人事のような気がしてしまう。。
仕事に使用するCD-Rを購入する為に街へでた。
『クリスマスかぁ』イヤでもクリスマス気分をかき立てる風景が、目に飛び込んでく る。
決してその状況がイヤなのでは無く、日常との忙しさとのギャップで、なんとなくクリスマス気分は 棚の上に置いてある感覚だった。
パソコンショップで物色していると、「dさん!」と声を掛けられた。
「あれ?MIKI?」と思わず忘れかけていた名前がサラッっと出た。
「元気?」と言った彼女は、ロングのストレートの髪を肩くらいまで切っていて、定番のミニスカートを プラダ風のパンツに換え、ワンランク上のお姉さんになっていて、こっちが焦ってし まうくらいの女性になっていた。
「う、うん 元気」「MIKIも元気そうだねぇ」2年前にあった出来事が、彼女を変えたのを一番知っている私は、目の前にいるMIKIをただ呆然と眺めていた・・。
それから、二人はしばらく世間話的に会話をしてメールアドレスを交換し、彼女はそ
の場を後にした。
目当ての物を購入し、新製品のパソコンをあれこれ見て店をでた。。
その日一日頭の中からMIKIは消える事は無かった。。
翌日、パソコンに電源を入れると複数のメールの中にMIKIからのメールが紛れていた。
昔みたいに直筆の手紙じゃないから、誰が書いても同じなはずなのに、 文面から感じる感覚が、きれいで、行間も読ませるようなメールだった。
実際書かれている内容は他愛のない話し・・・しかしそこには、何かを訴えている
MIKIがいた。
そう思うといても立ってもいられず、RESメールを送った。
「ありがとう・・・」MIKIからのメールはその書出しからいつも始まった。
11月中旬、寒くなってきた頃の再会は、メールのやり取りから始まった。
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12月に入り、街全体がクリスマス一色になり始めた頃、MIKIからのメールがプッツリと途絶えた。
互いにメールアドレス以外情報交換はしていなかった・・・と言うより暗黙の了解で、教えあわなかった。
2週間ほぼ毎日交し合ったメールのやり取りで、彼女について知った事は、飼っている猫が子供を産んだ事と手作りチーズケーキを上手く焼ける様になった事、そしてフィアンセがいる事だった。。
こんな狭い街だから、おおよそどのあたり住んでるかも検討はついていたし、メールに書かれていた彼女の部屋の窓から見える景色も、よく知ってる場所だった。。
きっとMIKIは、居場所を教えていたに違いないと、確信していた。。
何度となくその場所へ行こうと思った事か・・・・結局、車にキーをさし込んでエンジンをかけられないまま部屋へ戻った。。
12月も3週目に入り、忘年会やらオフ会やらが続き、毎朝吐きそうになりながらパソコンの前に座り一日が始まっている頃、MIKIから「今日の17:30の便で東京へいきます」とだけ書いたメッセージメールが届いた。。
18:00の打合せをドタキャンして空港へ向かった。。
2年前私は、仕事に明け暮れ彼女との事はいつも2番目にしていた。
仕事で残業している私へ届いたサヨナラの手紙は、その日の内で処分した。。
とにかく、その頃は仕事が起動に乗りかけてて、彼女どころではなかった。。
今では、ずっと向こう側にいる彼女の事が、やたら気になったし、心が揺れていた。。
師走の道路はやたら混んでいた。。
空港につき、出発ロビーへ走った。が、既にJAL906 17:30発東京行きは出発していた。。
いても立っても居られず、チケット販売カウンターへ向った私は、気がつくとJAL908
19:00発東京行きのチケットを手にしていた、それから出発ロビー内でMIKIの親友のS子に携帯し、これから彼女を追う事を告げ、MIKIが到着する頃にその事を伝える事を頼んだ・・。
思えばバカな事をしてるなぁ〜なんて余裕はなかったし、ましてやS子が連絡をとらないかも知れないなんて事は想像さえできなかった。。
私を乗せた飛行機は予定時刻より5分遅れで、離陸した。。
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機内はほぼ満席状態で、クリスマス前の慌しさと言うか、
ざわつきと言うか世の中は浮かれ気分なんだと気づいた。。
気分まで便乗出来ないので、ヘッドホンをした。
20数年前の12月8日に、弾丸に倒れたジョンレノンがうたっていた。
12月8日の日付まで知ってるのは、ジョンレノンの大ファンということではなく、私のバースデーだから・・・。。
ついでに、太平洋戦争勃発のキッカケとなったパールハーバー(真珠湾攻撃)も12月8日である・・私のバースデーは、あまりめでたくない日らしい。。
ジョンレノンの歌声はナゼか深く心に染みた。モチロン英語は知らないから、意味もサッパリだが、魂に響いた。。
こういう場面で、これだけ感動したらナゼか涙が落ちたりするんだよなぁ・・・なんてあるTVドラマの1コマを思い出したりしていた。
以外と落ち着き始めていた。。
結局、ドラマのように涙は流れ落ちることはなかった。。
機内誌を開くと、クリスマス特集だった そのまま、シートポケットに突っ込み少し寝た。。
羽田に到着して はじめて気がついた。。
書類と財布しか入ってないバッグ一つで来てしまった事に。。 寒い!
改札を出て即、MIKIの親友のS子に携帯した。
------- 留守電になっていた。。
しばらく、到着ロビー内でタバコを吸いながら、約束もしていないMIKIの事を待っていた。。
20分後もう一度、MIKIの親友のS子へ携帯してみた。。
やはり留守電になっていた。
以前MIKIと一緒に行った事のある渋谷の[BAR黒い月]に行く事と、携帯番号をメッセージに入れた。
空港内のショップでダウンジャケットとセーターと下着を買い、モノレールに乗った。。
電車に乗り換え渋谷へ向かう途中、恵比寿に夫婦で住んでる友人のK氏に電話を入れた。
彼は、こころよく「会えなかったら、泊まりにこいよ」と言ってくれた。
コレで寝床は確保できたとホッとした。。
しかし、私は何故東京に来てしまったのだろう
MIKIに会って何を言うつもりなんだろう
山の手線から見える風景を見ながら、自問自答のくり返しをしていた。。
渋谷の街は人の波で、歩くのに戸惑う程だった。。
4年前、ココを二人で歩いた事を思い出しながら、目的の[BAR黒い月]へ向かった。。
PM10:50カウンターに腰を下した。全てあの頃と同じで雰囲気も変わってない。
店主も相変わらず、キチッっとしていた。。
寒い時に飲むビールが好きな私は、駆けつけ2杯を飲み、軽いつまみで腹を慰めた。。
しばらくして、カンパリに切り替えた、カンパリは昔胃薬として飲まれていたという単純な理由で、BARで飲む時は必ず頼むリキュールだった。。
携帯がバイヴした。。
−−−−−−−−−−−−−−−−−。。
「ハイもしもし!」と張り詰める思いでとる
「1人?」恵比寿のK氏の嫁さんだった。。
「ふぅ〜ドキッとしたよぉ〜」と本気でドキッっとした事を告げた。。
「よくわかんないけど、思いつめちゃダメョ〜、こっち来るなら何時でも迎えにいってあげるわよ」と優しい口調で励ましてくれた。。
「う、うん・・大丈夫。。適当に又連絡するよ」とこたえ、
「Kにヨロシク」と彼女に言った。。
しかし、よく考えてみるとフィアンセの所へ向かった女性が、後から追ってきた昔の男に振り向くなんて、映画じゃないんだから、有得ないよなぁ という思いが、何度も頭をよぎる。。
イヤもしかしてMIKIの親友のS子が、彼女の為に伝えなかったのかも・・という線もあるなとも思う・・・。。自分の衝動的な行為が、可笑しくさえ感じてきた。。
何杯飲んだのだろう、気がつくと午前2:00を廻っていた。。
恵比寿のK氏宅に電話を入れ、勘定を済ませ帰ろうとした私に、店主が「dさんですよねぇ」と言ってきた。。
「は、はい!」突然の出来事に思わず大きな声を出してしまった。。
店主は「メッセージがありまして・・・」
「MIKIさんという方から、帰りがけに伝える様にとのことで・・」とメモ書きを渡した。。
そこには、「明日、携帯下さい」と言うメッセージと携帯番号が書かれていた。。
MIKIの親友のS子はメッセージを伝えてくれていたのだ。。。
K氏の車に乗り恵比寿のK氏宅へ向かった。
私は、酔った頭のチャンネルを切り替えK氏の自宅で、久しぶりの楽しい酒を飲んだ。。
二人は、MIKIとの話題に一切触れずにいてくれた。。
翌朝、仕事の電話に起こされ、あれこれと手配を済ませ、今日一日はフリーでいられるようにしたが、最終便で帰らなくてはいけなかった。
知人の旅行会社に空港受取のチケットを手配し、遅い朝食を食べK氏宅を後にした。
AM11:18青山の書店で欲しかった本を3冊買い、ショップで服を買い込んだ。。
久しぶりの東京は、新鮮で刺激がイッパイあった。。
気持ちの変化がハッキリとわかるスピードで、MIKIとの事を清算し始めていた。
それと比例して昨日からモノクロで見えていた世の中が、少しずつ色がつき始めていた。。
PM2:36遅いブランチをオープンカフェでとった。。
買ったばかりの本に目を通していると、携帯が鳴った。。
MIKIからだった。。
しばらく携帯を見つめ、小刻みに震える指で・・・・・切った、イヤ取れなかったのだ。。
無音の時が流れた。。
JAL 909 19:40発沖縄行きの機内にイッパイの荷物を持って乗り込んだ。。
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12月24日PM6:30クリスマスイヴだというのに、マシンに向い仕事をしていた。。
先週の出来事が、夢だったかのように普段のままの時が流れていた。。
MIKIへの思いは、相変わらず引きずったままだったが、仕方ないと言い聞かせていた。。
オフィスのチャイムが鳴った。
「宅急便でーす!」とドア越しに声がした。。
サインをし、小包を受け取った。MIKIからだった。。
箱を開けて見ると、オルゴール付きクリスマスカードとチーズケーキ、子猫とMIKIが写った写真が入っていた。 「メリークリスマス」と1行だけのメッセージに、ジョンレノンのメロディーだった。。
その夜、私は行き付けのBARで、アスファルトに落ちて溶ける雪になった。。。

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